海辺の小さな街で暮らす中学生の小梅は、憧れの三崎先輩に手ひどく振られたショックから、かつて自分のことを好きだと言ってくれた内向的な同級生・磯辺と関係を持ってしまう。初めは興味本位だったが、何度も身体を重ねる二人。やがて、磯辺を恋愛対象とは見ていなかったはずの小梅は、徐々に磯辺への想いを募らせ、一方、小梅に恋焦がれていたはずの磯辺は、その関係を断ち切ろうとしてしまう。二人の気持ちはすれ違ったまま、磯辺は過去にイジメを苦に自殺した兄への贖罪から、ある行動に出て…。
もどかしくも切ない、胸を締め付けられる、繊細で残酷な思春期の少女と少年の青春譚。緻密で叙情的な画風と繊細な心理描写に定評のある浅野いにお作品の中でも、特に「思春期」「恋」「性」といったセンシティブな題材に真正面から挑んだ作品として、ファンの間でも根強い人気を誇る。
主人公の小梅役と磯辺役は、原作者・浅野いにおもオーディション審査に参加し、石川瑠華と青木柚の二人に決定。石川は2017年から演技のレッスンを始めると『イソップの思うツボ』(19年)で主演に抜てきされ、今後も主演作『猿楽町で会いましょう』(6月2日公開)が控えている。
青木は、『14の夜』(16年)、『アイスと雨音』(18年)、『サクリファイス』(20年)などの作品で評価を高め、4月スタートのNHKよるドラ『きれいのくに』にも出演が決まっている。
また、小梅の同級生、鹿島役は前田旺志郎、桂子役は中田青渚、三崎先輩役として倉悠貴など、期待の若手俳優陣が顔を揃え、磯辺の父役で村上淳が出演する。
原作者の浅野氏は「『小梅』と『磯辺』が確かにそこにいます。より生々しく、より切実に。10代の瞬きにノスタルジーを感じながらも、今現在の自分がその延長線上にいるということを再認識させてくれる作品でした。そういえばいつだったか自分も、あの街の『小梅』であり『磯辺』だったのです」と、今回の映画化にコメントを寄せている。
監督は、長編初監督作である『リュウグウノツカイ』(14年)が「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で北海道知事賞を受賞し、以後も『桜ノ雨』(16年)、『天使のいる図書館』(17年)、『富美子の足』(18年)とコンスタントに話題作を発表している気鋭の映像ディレクター・ウエダアツシ。ウエダ自身もファンである浅野いにおの世界観を忠実に受け継ぎつつ、少女と少年の複雑な心情を繊細に映像化することに努めた。
劇伴音楽は、その唯一無二な音楽性で世界的な評価を受ける「world‘s end girlfriend」が担当。衝動的かつ重厚な音楽は、言葉にできない感情を表現する上で見事な彩りを加えていく。また、挿入曲は、原作でも登場する、はっぴいえんど(細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂らによるバンド)の「風をあつめて」。アルバム『風街ろまん』(1971年)発売から50周年を迎える今年、より注目が高まるはっぴいえんどの名曲「風をあつめて」がクライマックスの暴風雨のシーンを盛り上げる。
【石川瑠華のコメント】
最初、浅野いにおさんの漫画『うみべの女の子』を映画化するというお話を聞いたとき、衝撃を受けました。でも、これは可能性でもあり、この素晴らしい原作を映画で伝えられたら、もっと素晴らしいのではないかと思うようになり、オーディションに参加しました。私自身、大好きな作品であり、小梅としてこの作品の中で生きた時間は本当に幸せでした。同時にこれまで感じたことのない大好きだからこその怖さも感じていました。ウエダアツシ監督とは初めてだったので何度も作品について話し合いました。私は、監督が暖かく包み込むような優しさで小梅や磯辺はもちろん、この作品に出てくる登場人物、そしてこの作品を愛していることを感じました。どんな恋愛映画や青春映画の型にもハマらないパワフルな映画になっていると思います。是非、公開を楽しみにしていただけたらうれしいです。
【青木柚のコメント】
今も尚多くの人に愛されている原作にこのような形で携わる事が出来るのはとても光栄であり、同時に不安でもありました。ですが磯辺という人間を知れば知るほど、その考え方や心情にどこか他人とは思えないようなシンパシーを感じ、何がなんでも磯辺を最後まで生き抜きたいと強く思うようになりました。浅野さんが描く生々しく繊細な世界、石川さんを通して伝わってくる小梅の葛藤、この原作を背負ったウエダ監督の思い、その全てが僕と磯辺を結びつけ、支えてくれました。多くの方々と共に心血を注いで取り組んだ作品です。
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浅野いにおの傑作『うみべの女の子』映画化 主人公の小梅と磯辺は石川瑠華&青木柚|オリコン|北國新聞 - 北國新聞
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