園長室の机の引き出しには小学生のサキちゃん=仮名=が書いた1枚のメモ紙が大事にしまってある。「明るい、優しい笑顔で近づいていく」。鉛筆の、ちょっぴりかしこまった文字。園長の松永忠さん(59)と一緒に考えた「お約束」だ。サキちゃんは自分の気持ちをうまく伝えられないとき、この約束を思い出す。 【画像】虐待事件に関わった親の背景 サキちゃんは1年ほど前、大分県別府市の中心部にある児童養護施設「光の園」に弟と一緒に入った。家では義父の暴力におびえ、それをかばった弟も暴力を受けた。助けを求めて、2人で交番に駆け込んだ。 光の園では一緒に暮らす職員の田中由菜さん(27)を困らせた。いつもぶすっとして無視する。急に怒りだして叫び、1時間近く泣きわめく。
大人が自分をどこまで許すか、本当に愛してくれるのか、試す。心が傷ついた子どもがよく示す行動だ。分かってはいても、試される大人は振り回され、ヘトヘトになる。疲弊した田中さんを見て、松永さんはサキちゃんを呼んだ。 「田中さんはサキちゃんをどなったり、たたいたりする?」-「しない」 「抱きしめたり、一緒に買い物したり、お風呂に入ったりは?」-「する」
「なんでそうすると思う?」。サキちゃんはしばらく考えて、答えた。-「私のことが好きだから?」 サキちゃんも、田中さんが「一番好き」。好きの気持ちはどうやったら伝わるんだろう。サキちゃんは自分で考え、メモに書いた。
* 光の園では4~18歳の約40人がそれぞれ2階建ての一軒家に5~8人ずつ、交代で住み込む職員と一緒に暮らす。サキちゃんの家で一番大きいお姉ちゃんは高校生、一番小さいのは幼稚園児。サキちゃんは上から3番目だ。 夕方、調理担当の職員がご飯を作る間、みんな宿題をしたりテレビを見たり。傍らで田中さんが洗濯物を畳む。小さい子は別の職員と一緒にお風呂。髪もドライヤーで乾かしてもらう。高校生は2階の自室でダンスの動画を見て踊っている。
義父から暴力、交番へ駆け込んだ…心に傷負う女の子 職員と考えた「お約束」(西日本新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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