
日本でも女性の書き手によるジェンダーに関する書籍が増えた。可視化されてきたこの問題を現在どのように捉える必要があるのか。「更新されるジェンダー論」についての質問に、著者・訳者が答えるシリーズ。 今回は『日本のヤバい女の子 静かなる抵抗』、『百女百様 ~街で見かけた女性たち』などを著書に持ち、「テキストレーター」として活動するはらだ有彩さんが、昔話に登場する女性たちについて語ります。 【写真】影響力のある女性たちが送る、エンパワーリングフェミニスト名言集60
Q.昔話に登場する勇敢な女の子から学べることはありますか?
「女から誘うなんてはしたない」。「女はみんな美しいものを好む」。「女は仕事ができない」。「女は男より前に出てはいけない」。 昔話に登場する女の子たちは、しばしば、このような野暮ったいジェンダーロールを飛び越えてくれる。野暮ったいくせに、隙あらば現代に浸透し直そうと待ち構えているジェンダーロールを。だけど彼女たちの行く手を阻むものが全くなかったと言えば嘘になる。 『古事記』の「イザナミ」は、自分から夫に声をかけたことを非難された。『堤中納言物語』の「虫愛づる姫君」は、その名の通り虫を愛しただけで敬遠され笑われた。『有明の別れ』の「女右大将」は男装して出世したが、女性の姿に戻ったとたん自由に外出することもできなくなった。笑顔のお面のルーツである「おかめ」は、夫の失敗を救ったことを気に病み、自ら死を選んでしまった。 ロールを飛び越えたはずの彼女たちを、飛び越えていない人々が引き戻そうとする。女から誘うなんてはしたないから。女はみんな美しいものを好むから。女は仕事ができないから。女は男より前に出てはいけないから。 引き戻そうとする人々を動かすのは、その時代に満ちていた空気だ。時間が進んで2021年、空気は変わっただろうか。まるで逆行しているようなニュースを目にするたび、ふと不安になる。 しかし私たちは彼女たちの行動を知っている。物語が続く限り、彼女たちに似た登場人物は増え続ける。それが私たちだ。飛び越えようとする人が、引き戻そうとする人より多くなるその日まで、彼女たちと手を取り合ってページをめくり続けていこう。
はらだ有彩:関西出身。テキスト、テキスタイル、イラストレーションを手がける「テキストレーター」として活動。これまでに『アパートメント』『She is』『リノスタ』などのウェブや雑誌にエッセーやマンガを寄稿。最新刊は『日本のヤバい女の子 静かなる抵抗』(柏書房)、『百女百様 ~街で見かけた女性たち』(内外出版社)。
From Harper's BAZAAR March 2019
『古事記』の女神イザナミほか、昔話に登場する勇敢な女の子から学ぶジェンダー論(ハーパーズ バザー・オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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