足かせをはめられ檻の中に
写真に写っているのは、ボサボサの髪に汚れた服、顔にも泥がついたまま、その小さな手で鎖をつかんでいる6歳の女の子だ。ナーラ・アル・オスマンが亡くなる数ヵ月前に撮影されたこの一枚が、彼女の短すぎた人生の過酷さを物語っている。 ナーラは最期の数年間を、父親ときょうだいと一緒に、狭く密集したテントの中で過ごした。10年にわたるシリア内戦、世界から忘れ去られたとも言えるこの戦争により、国内避難民となった人々が暮らすキャンプだ。 その貧窮化した環境のキャンプで、ナーラは歩き回らないようにと、父親から足かせをはめられ鎖につながれていたことがよくあったという。父親はナーラが赤ん坊のときに使っていたベビーベッドを改造して檻を作り、その中に彼女を閉じ込めることもあった。 キャンプの監督者であるヒシャム・アリ・オマルは言う。 「父親は彼女の手や足に鎖をつないでキャンプの外へ行かないようにしていました。私たちは彼に、鎖を外して檻に入れるのをやめるようにと何度も言いましたが、彼は聞く耳を持たなかった」 そのようにつながれていたナーラは先月、窒息死で短い生涯を終えた。空腹のあまりに急いで食べすぎて喉に詰まらせてしまったのだ。彼女の死後、鎖でつながれたり檻に入れられたりしている画像はソーシャルメディアで広がり、父親に対する怒りの声が高まった。 この事件は、シリア内戦の犠牲になっている子供たちの現状に、久しぶりに世界の目を向けた。シリア北部には内戦で家を追われた人々が暮らすキャンプが散在し、その劣悪な環境で何百人もの子供たちが耐えている。暴力から逃れても空腹からは逃れられず、教育や医療、きれいな水にさえアクセスできないなかで、生き延びるだけで精一杯の毎日を送っているのだ。 「ここには、このテントの中で生まれた子供たちもたくさんいます」と、国際援助団体セーブ・ザ・チルドレンの広報アーメド・ベイラムは言う。「雨が降れば、濡れたままのベッドに眠ることもある。子供たちは普通の生活がどういうものか、もうわからなくなっています」
自ら命を絶つ子供たち
ナーラは反政府勢力が支配するシリア北西部のキャンプに家族と暮らしていた。内戦中、この地域の420万人以上が家を追われ、その多くが急場しのぎのテントに身を寄せている。政府軍やそれを支援するロシアによる攻撃がいつ再開されるかわからない恐怖のなかで、怯えて暮らす毎日だ。 援助団体らによれば、キャンプの環境は悪化する一方で、栄養不良に陥る人が増加。とくに子供たちにとって過酷な状況になっているという。 シリア北西部では子供の自殺も増えていると、セーブ・ザ・チルドレンのバイラムは言う。「11歳やそれより幼い子供たちが自ら命を絶っているのです」
シリアで鎖につながれた6歳の女の子が「窒息死」した悲しすぎる理由 (クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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