世界中の女性が生理に悩まされている!
経済的理由などで生理用品を入手することができない「生理の貧困」が問題視されている。国際NGOプラン・インターナショナル(以下、プラン)が2021年4月に発表した「日本のユース女性の生理をめぐる意識調査」レポートによると、15〜24歳の若年女性2000人のうち、36%が「生理用品の購入をためらったことがある、または購入できなかった」と回答。
また、生理についてネガティブな印象をもつ女性が一定数存在することも明らかに!これは日本だけの問題ではなく、例えば、イギリスで2017年と2020年に行われた調査でも、10%が「生理用品が買えなかったことがある」と答えているし、48%は「生理を恥ずかしい」と考えているという。
もちろん、先進国だけの問題でもない。途上国では、貧しさや生理をタブー視する風潮などから、「生理で学校に行けない」という女の子も。清潔な生理用品が手に入らなかったり、正しい月経衛生管理を知らず感染症にかかるなど、まさに、世界中の女性たちが生理に悩まされている現状……! 私たちには何ができるのか? 今回は、プランが行っている途上国の女の子支援の現状を知って、できることを考えてみよう。スタッフの石丸晴菜さんに話を聞いた。
<写真>石丸晴菜さんは、学生時代からプランでインターンとして働き、大学院で教育開発学を学んだ後、2019年からプログラム部のスタッフに。これまでにエチオピアやバングラデシュでの活動を担当。写真は、バングラデシュで歓迎の花をもらったときと、女の子たちの意見発表を聞いているときのショット。
布ナプキン作りをサポート
Q:プランが活動している国では、生理用品が手に入らない女の子が多いのでしょうか?
A:そうですね。そもそも日本で売っているような生理用ナプキンが普及していなかったり、売っていても高価で買えなかったりする女の子が多いのが現状です。そうすると、生理期間中に学校に行けなくなり、勉強についていけなくなって学校をドロップアウトせざるを得なくなるという事態につながります。
靴下やボロ布を当ててしのいでいる場合もあると聞きました。もちろん衛生面で問題がありますが、自分の親も親族もそうなのでそれが当たり前。たとえ感染症を患っても、それがボロ布のせいだとは思わない女の子が多いのです。
Q:生理用品の不足を解決するために、どのような活動をされていますか?
A:例えばエチオピアでは、繰り返し洗って使える布ナプキンを作るトレーニングをしています。自分で布ナプキンを作れるようになるうえに、男の子にも参加してもらうことで、生理用品の重要性を理解してもらうこともできます。布ナプキンは自分で使うこともできるし、売って収入を得ることもできるんです。
<写真>エチオピアでは、紙の生理用品や下着、洗濯石けんなどの衛生キットを配布するのに加えて、布ナプキンを作るトレーニングを実施。布ナプキンは洗って何度でも使えてエコ!
“不自然な普通”に気がつくことが大切
Q:生理の悩みを打ち明けられない、生理を隠さなければならないなど、“生理のタブー視”も問題に思えます。
A:そうなんです。そこで、プランは、正しい知識を得て、自分の体に決定権をもち、健康に過ごせる権利としてとらえる「性と生殖に関する健康と権利」についての情報を思春期の女の子に提供し、啓発活動を行ったり、国会議員や政府関係者に権利を守るよう働きかけたりしています。
Q:どんなときに活動の手ごたえを感じられますか?
A:女の子たちが堂々と生理について話すようになり、生理用品の不足などを自分たちで解決しようとする姿を見ると、うれしいですね! 例えばバングラデシュにある女子校では、女の子たちが声をあげたことにより、 学校に意見箱が置かれるようになりました。すると、「学校に来るときに生理用ナプキンがないと困る」という声が寄せられ、トイレに生理用ナプキンが設置されるようになったのです。
バングラデシュでも生理はタブー視されており、あまり話されることはありません。しかし 「生理って本当にネガティブなものなの?」という疑問をもつことは、生理以外にもさまざまな問題解決につながると思います。「なんで女の子だけ学校に行けないの?」、「なんで女の子だけ家事をするの?」とか、“今までの常識”や“不自然な普通”のおかしさに気がつくのは、ジェンダー平等をすすめるうえで重要です。
<写真>女の子たちの働きかけで、バングラデシュの学校内に置かれた意見箱とトイレに設置された生理用ナプキン。
男の子や保護者などさまざまな立場の人にアプローチ
Q:「生理の貧困」を解決するために、どのようなことが求められていると思いますか?
A:解決に向けて、女の子に加えて、男の子、保護者、教員、政府関係者などさまざまな立場の人にアプローチする必要があります。さらに、生理用品を配ったり男女別のトイレを設置するといったハード面に加えて、意識啓発や保健教育の情報を提供したりと、ソフト面の支援も不可欠です。
支援を多角的に行うというのは、生理に限らず、あらゆる問題を解決するのに大切なアプローチ。プランの活動は、ピンポイントの“点”ではなく、課題を総合的に解決して地域全体をより良くする“面”の支援です。こうした活動を継続的に行えるのは、プラン・スポンサーシップという支援方法によるものです。
これは、「教育」「医療」といった、ピンポイントの“点”のプロジェクトではなく、あらゆる分野にある課題を村や地域で総合的に解決する“面”の支援です。毎月3000円からの継続的なご支援となる「プラン・スポンサーシップ」にお申し込みいただくと、プランの活動している地域に暮らす“チャイルド”を1名ご紹介します。この“チャイルド”とは、プランとともに活動し、地域を代表してその成果を私たちに伝えてくれる子どもたちのことです。女の子を“チャイルド”として支援すれば、彼女の人生にエールを送りつつ、地域も応援することができます。
<写真>バングラデシュの学校のトイレにはサニタリーボックスが設置され、生理中でも女子生徒が安心して学校に通えるように。
「アルティーダ ウード」ディレクター 安部 真理子さんも応援!
「"虐げられてきた女の子への支援が、世界を前に進める近道"として、ジェンダー平等の観点からの長期的な発展を掲げる活動方針に深く共感し、ブランドローンチ当初より支援をさせていただいています。2020年3月に始めた、『インドに学校を建てる』「I am」ドネーションプロジェクトというオーダーメイド・プロジェクト(*注)でも、点ではなく面の支援となるようにと、企画段階から実現に至るまで寄り添ってくださった職員の皆様に心より感謝しています」(安部 真理子さん)
*注:学校や診療所、給水設備の新設など、ひとつのプロジェクトを個人や企業で「まるごと支援」するプロジェクト。
<写真>人気ジュエリーブランド「アルティーダ ウード」の『インドに学校を建てる』「I am」ドネーション プロジェクトでは、天然石のジュエリー1点につき1000円をプラン・インターナショナルに寄付。さらに、「#iamdonation」のタグと共にジュエリーが写った写真をインスタグラムのフィードに投稿すると、追加で100円が寄付される。ジュエリーを制作するのは、インド現地のNGOの女性たち。プロジェクトは、彼女たちの自立支援の役目も果たしている。
【MOVIE】
プラン・インターナショナルの活動を動画でチェック!
プラン・インターナショナルとは?
プラン・インターナショナルは、子どもの権利を推進し、貧困や差別のない社会を実現するために世界70カ国以上で活動する国際NGO。創立は1937年。長年にわたり、子どもや若者、地域の人々とともに地域開発を進めてきた。すべての子どもたちの権利が守られるよう、とりわけ女の子や女性への支援に力を入れている。
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問い合わせ先
プラン・インターナショナル
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Realization:KYOKO TAKAHASHI
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