浅野いにお原作による実写映画「うみべの女の子」の完成披露舞台挨拶が、本日8月3日に東京・新宿武蔵野館で行われ、浅野、小梅役の石川瑠華、磯辺役の青木柚、監督を務めたウエダアツシが登壇した。
自作の実写映画化は、2010年公開の「ソラニン」以来2作目となる浅野。実写化のオファーを受けた頃を思い返し、浅野は「この原作自体が10年以上前に連載していたマンガでして。内容的にも過激なので、そういう期待はしないでいたんですが、妙なタイミングでオファーをいただいてウエダ監督とお会いしたんです。僕と監督は世代が同じぐらいなので、お話を伺っていると今まで見てきた景色が同じだったり、すごく作品を尊重してくれてるという実感がありましたので、これはお任せして大丈夫かなと思えました」と語る。ウエダ監督は「プロデューサーたちも僕と同世代で、5年前ぐらいに僕ら世代で新しい映画を作ろうと企画会議をしたんです。そのときに僕が最初に会議に持って行ったマンガが『うみべの女の子』でした。浅野さんも同世代で、今の若い世代に向けて、あまりない映画を届けたいと思って作ったという経緯がありました」と述懐した。
オーディションにも立ち会った浅野は、石川と青木についての印象を語る。「僕がオーディション会場に行くとき、ビルのエレベーターで僕の前に制服を着た小さい女の子がいて、なんでこのビルに中学生が来るんだろうって思いながら、一緒にエレベーターに乗ったんです」とオーディション前に石川と出会っていたことを明かす。続けて「小梅役が難航していて。石川さんだけ都合が合わず別日のオーディションだったんですけど、満場一致で『この人しかいない』となった感覚で救われました」と話した。青木について浅野が「前から青木さんに関する情報はもらっていて、正直青木さんじゃないと成立しないという前提があったので、やってもらえるとなって安心した」と述べると、青木は「マジか……」とつぶやきながら恐縮していた。
青木の印象を問われた石川は「現場では磯部と小梅のように、近いのか遠いのかよくわからない、でも何か特別なことは言えたり、ほかの人には言えないことが言えたりする関係でした。今は一緒にいると居心地がいいです」とコメント。石川の発言に「本当?」と聞き返しつつ、青木は彼女について「初めに会ったときから石川さんの小梅役への思い入れをとても強く感じて、現場でも小梅であろうとする姿勢、意思が非常に伝わってきて、僕自身とても助けられました」と感謝する。
撮影は2020年の7月に行われた。現場にも足を運んだ浅野は、「磯部と小梅がキスするかしないかっていう後半の重要なシーンで。挨拶しようと思ったんですけど、2人ともそれどころじゃないんだろうなっていう雰囲気でした(笑)。もともと原作でも2人の関係性は特殊で、ストレートに仲良いというものでもないので、撮影が難しかったのではないでしょうか」と石川と青木の苦労に思いを巡らせる。また浅野は「(劇中に登場する)“うみべの女の子”の写真は、水着の柄から構図までほぼ完全再現されていた。台風のシーンで看板がひっくり返るところは角度まで同じだったり、美術スタッフさんの執着というものを感じました」とコメント。ウエダは「原作の背景は実際の写真から描き起こしてるものが多いので、実写化するならできるだけ同じところで撮りたいなと思っていたんです。マンガ原作だけど、そうすることでお芝居する側もヒントになるかなと。僕も『うみべの女の子』のファンとして、その点は意識してできるだけ原作に近付けようとしていました」とファン目線での工夫を説明した。
最後に浅野は「そもそも原作が過激な内容だったので、主演のおふたりにはいろんな苦労があったと思います。マンガは終わったら終わりっぱなしが常ですが、こういう機会をいただくことで自分のマンガがまだ生きてるという実感を得ることができました。ちょっとトゲのある内容ですが、こういう映画を必要としている若い世代は必ずいると思いますので、そういう人たちに見てもらえたらいいなと思っています」と挨拶した。
「うみべの女の子」は、海辺の小さな街で暮らす中学生の小梅が、憧れの三崎先輩に手ひどく振られたショックから、かつて自分のことを好きだと言ってくれた内向的な同級生・磯辺と関係を持つようになる物語。8月20日に東京・新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開され、R15+指定作品として上映される。
(c)浅野いにお/太田出版・2021『うみべの女の子』製作委員会
浅野いにおが映画「うみべの女の子」に感謝、「自分のマンガがまだ生きてると実感」 - マイナビニュース
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