のびのびと健康に育ってほしい、周囲の人と助け・助けられる存在であってほしい―親が子どもの名前にこめる思いは時代を経ても大きく変わるものではないけれど、それでも、やっぱり名づけにはトレンドがある。一時のキラキラネームブームは去り、最近は和の古風なイメージが人気。
ベネッセが毎年実施している赤ちゃんの名前ランキングで、2021年は女の子は「陽葵/ひまり」「紬/つむぎ」が同率1位、男の子は「蓮/れん」がトップだった。子どもの名前にこめる親の願いは普遍的なもので、上位の顔ぶれは大きく変動はしていない。「陽葵」は6年連続、「蓮」は4年連続の1位。
「成長」「根を張る」「花開く」ことに思いを託してか、植物に関連する名前が多い。女の子はトップ10のうち7つに草冠の漢字が含まれ、「杏」も果樹の名前。男の子は草冠の漢字2つと「樹」の3つが植物関連。
女の子5位の「葵」と男の子3位の「蒼」はいずれも「あおい」と読むが、「葵」は夏場に鮮やかな色の花を咲かせる草木、「蒼」は植物のあおあおとした色を意味する。男の子7位の「碧」は青く美しい石のことで、同じ「あお」の音でも、親の願いにはジェンダー・バイアスが含まれているようだ。
文字数は1文字が人気。女の子はトップ10のうち5つ、男の子7つが1文字名前。
女の子の名前
出所 : ベネッセ「たまひよ」 ()は前年順位、名前の読みは代表的なもの
男の子の名前
出所 : ベネッセ「たまひよ」 ()は前年順位、名前の読みは代表的なもの
名前ランキングはベネッセのたまひよの商品・サービス利用者から寄せられた情報を基に、2021年1月1日から2021年9月28日生まれの赤ちゃんの21万1039人の名前を分析・集計している。
【おまけ】
葵(あおい)
女の子の名付けのイメージのベースとなっているのは、アオイ科のタチアオイ。まっすぐに伸び、穂状に花を咲かせる。花色はピンク、赤、濃紫、白などさまざま。
「源氏物語」の光源氏の最初の正妻の名は「葵の上」。高貴な家柄に生まれ、美貌と教養を兼ね備えるが、浮気を重ねる光源氏とは心がすれ違ったまま。息子・夕霧を生んで間もなく死んでしまう薄幸な女性。
ちなみに、徳川家の「葵の御紋」のモデルとなっているフタバアオイは、ウマノスズクサ科の山野草で、タチアオイとは異なる種。
紬(つむぎ)
くず繭などを手紡ぎした糸を使った織物。古くから養蚕地帯で庶民が普段着、野良着として着用してきた。生糸の織物よりもざっくりとした風合いで、見た目の派手さはないが、丈夫で長持ちすることが、堅実なイメージにつながっている。
茨城県結城市、栃木県小山市を中心とする地域で製織されてきた結城紬(ゆうきつむぎ)は、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。
茉莉(まつり)=ジャスミン
「莉子」の「莉」は、インド原産の常緑小低木の「茉莉」から引いたものと考えられる。茉莉花茶はジャスミン茶のこと。柔らかな香りで包み込むような癒しのイメージがあるのだろうか。
杏(あん)
訓読みは「あんず」、英名はアプリコット。バラ科の植物で、3~4月にかけて桜に似たカワイイ花を付ける。
蓮(はす / れん)
池や沼などに水生植物。水底の泥に深く根を延ばし、清らかな花を咲かせることから、仏教では仏の悟りを象徴する花とされる。大仏や仏像はよく見ると「蓮華座(れんげざ)」の上に立ったり、座ったりしている。
バナー写真 : PIXTA
女の子は「陽葵」「紬」、男の子は「蓮」がトップ : 2021年の赤ちゃんの名前―ベネッセ - Nippon.com
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