「女の子と待ち合わせなんですが、僕のクルマを見た瞬間帰っちゃいました。」Twitterに投稿されたそんなツイートが話題となっていますが、いったいどういうことなのでしょうか。
「こんなものに乗れるか!」といれたクルマは…
GWも終盤に差し掛かった5月7日、「女の子と待ち合わせなんですが、僕のクルマを見た瞬間帰っちゃいました。Twitterの皆さん何がダメか教えてください」というツイートが投稿され、みるみるうちに拡散されていきました。
そんなツイートとともに投稿された1枚の画像には、コンビニエンスストアの駐車場に駐車している1台のクルマが写っていましたが、なんとそのクルマとは「フェレット」と呼ばれる、イギリス陸軍によって設計開発された装甲車だったのです。
「基地司令@軍用車コレクター(@Military_AFV)」さんによって投稿されたこの写真は、5月20日現在で13万以上のいいねがつくほど話題になっています。
実はこのツイートを投稿した基地司令@軍用車コレクターさんは、日本有数の軍用車コレクターとしてマニアの間でよく知られた人物です。
そんな同氏に、今回のツイートを投稿した経緯とその反響についてお話をうかがいました。
ーーこのツイートはどういう経緯で投稿されたものですか?
これは私自身の経験を、Twitterで流行っていた『ネタ』風にアレンジしたものなのですが、実はここでいう『女の子』とは私の奥さんなんです。
軍用車をコレクションするのが趣味なのですが、軍用車を購入するときには事前に奥さんには一切相談しません。絶対に許可がおりないので(笑)。
このフェレットは約7年ほど前に購入したものなのですが、ある日、奥さんから「友達の家の近くのコンビニで待ってるから暇なら迎えに来て」といわれたので、フェレットに乗ってさっそうと迎えに行ったんです。
そうしたら「こんなものに乗れるか!恥ずかしい!!」と怒られてしまい、奥さんはタクシーを呼んで帰ってしまったというエピソードが、このツイートの元ネタです。
ーーこのフェレットという装甲車は、やっぱり乗り心地が悪いものなのでしょうか…?
悪いなんてものじゃありませんね。フェレットは「車長」と「操縦士」の2人乗りとなっているのですが、かなりの狭さのうえに、バイクのようなタンデムスタイルとなっていてとても窮屈です。
さらに、搭乗は上部のハッチからおこなうので、正直奥さんが乗りたくないというのも当然ですね(笑)。
ーーなるほど…。このフェレット装甲車はどれくらい珍しいものなのですか?
フェレットは、1952年から1971年にかけておよそ4400台が製造されています。
イギリス陸軍での運用期間はそれほど長くありませんでしたが、イギリス連邦加盟国ではいまでも現役で使用している例もあるため、世界的に見ればものすごく珍しいというわけではありません。
ただ、日本では私が保有している1台しかありません。ちなみ「英国車」であるフェレットには、「ボイリングベッセル」というお湯を沸かし紅茶を淹れるための装備や保温するための魔法瓶が標準装備となっています。
じつは、私のフェレットに備わっているボイリングベッセルは初期型のもので、世界で現存が確認されているものはたったふたつという非常に珍しいものです。
ボイリングベッセルは、非常に簡素な仕組みのものなので、車内で使用すると熱や蒸気で大変なことになってしまいます。
それでも、イギリス人にとってティータイムは何よりも大切なものなので、戦争中であっても車外に出て紅茶を楽しんでいたようなんです。
また、諸説ありますが、第二次大戦中、イギリス軍と戦っていたドイツ軍は、午後4時頃(アフタヌーンティーの時間)になるとイギリス軍の攻撃が止まることに気づき、そこを狙って攻撃を仕掛けました。
当然、イギリス軍は大きな被害を受けるわけですが、それでもイギリス人は紅茶を楽しむことをやめようとはせず、車内でも安全に使えるように改良されたボイリングベッセルが開発され、その後は戦車や装甲車に配備されるようになったといいます。
ーー以前から軍用車に興味があったのですか?
はじめて買ったのは、「キューベルワーゲン」というドイツの軍用車です。
30歳の頃に通勤用のクルマとして手に入れたのですが、オープントップの軍用車でありながら、スーツを着て乗っていたので、かなり目立っていたと思います(笑)。
その後、イギリス軍専門のコレクターとなり、すでにキューベルワーゲンは手放してしまいましたが、現在はイギリス軍の軍用車やバイクを日本国内と英国内に複数台所有しています。
軍用車を購入すること自体はそれほど難しくないのですが、「自分で維持管理して走らせ続けること」が私のポリシーなので、動態保存できる状態にするまでに非常に手間と時間がかかりますね。
また、私は大阪府松原市で「ミリタリーアンティークス大阪」という私設博物館を運営しています。
一般公開しているのは月に一度ですが、「見て、触って、乗れる博物館」として、当館でしか出来ない展示をおこなっています。
ぜひ多くの皆様に実際に展示車両をご覧頂き、それぞれの感性で“何か”を感じる場を今後も提供していければと思っています。
※ ※ ※
今回、話題となったツイートは、ほかにも色々な人が似たような投稿をしています。
しかし、フェレット装甲車以上のインパクトがあるものは滅多にありませんが、あえて「乗ってみたい!」という物好きも世の中には多そうです。
「女の子と待ち合わせなんですが…」 現れたのは「装甲車」でした! 日本に1台しかない「フェレット」ってナニ? - くるまのニュース
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