今月発売された新刊の中から、おすすめの作品を紹介する本企画。漫画ライター・ちゃんめいが厳選した、いま読んでおくべき5作品は?
webアクション『みなそこにて』冬虫カイコ
神秘的な廃墟に佇む少女。この美しくもどこか不気味な表紙に惹かれて、思わず手に取った一冊。
家族や友人といった繋がりに苦しみながらも、求めずにはいられない……そんな命あるもの全てが抱くような物悲しさを、“人喰い人魚”と人間の少女の交流を通して繊細に描く。作中には、封鎖的な田舎町、因習など、ジャパニーズホラーを感じるエッセンスが散りばめられており、読み進めるたびに迫ってくる“じわじわとした怖さ”がたまらない。だが、物語の主題が恐怖ではないため、本作をホラーと表現してしまうのはどこか釈然としないものがある。そんなジャンルに括れないところも本作の魅力だ。
月刊少年ガンガン『黄泉のツガイ』荒川弘
『鋼の錬金術師』の荒川弘先生が、『黄泉のツガイ』を引っ提げて約11年ぶりに「月刊少年ガンガン」に帰還……! そんな超話題作の記念すべき第1巻だ。
山奥の村を舞台に、主人公・ユルと村奥に幽閉されている双子の妹・アサを巡り、兄妹、そして村に隠された秘密に迫る物語。一言でいうならば“和製ダークファンタジー”なんてことを思った時期もあったが、読み進めていくうちに、異世界、現代、ファンタジー、バトル……この全ての要素を体感できる物語の広がりに圧倒された。1巻の最後に、荒川弘先生の作品ではお馴染み“4コマ漫画”が収録されているところもファンにとっては嬉しいポイントだ。
月刊コミックビーム『女の子がいる場所は』やまじえびね
1話を試し読みしたあと「読みたい」ではなく「読まなければいけない」という衝動に駆られた。
モロッコ、インド、アフガニスタンなど、国も宗教も文化も違う、それぞれの少女たちに襲い掛かる“女だからこうあるべき”を描いた本作。しかも、これが現実で起きていることなのだと思うと怒りを通り越して絶望すら感じてしまう。けれど、やまじえびね先生の繊細なタッチで描かれる絵によって、冷静さを取り戻し、物語の裏に潜む社会的背景について考える余韻が生まれる。「実際に起きているこの不条理とどう向き合っていくのか?」「どうしたら変えられるのか?」本作を読んだ後に真っ先に浮かぶこの問いたちが、世の中を変える一歩になるのかもしれない。
『みなそこにて』『黄泉のツガイ』『女の子がいる場所は』……漫画ライター・ちゃんめい厳選! 6月のおすすめ新刊漫画 - リアルサウンド
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