名古屋市中川区にあるマンションの一室に、「中学生以上の女の子の居場所」がある。訪れるのは、家族との関係など、さまざまな悩みを抱える少女たち。代表の久野恵雅(めぐみ)さん(34)は「気軽に来てもらい、安心して話せる場所でありたい」と、彼女たちの声にそっと耳を傾け、見守っている。【加藤沙波】
少女らの居場所「meguru house(めぐるハウス)」は2019年にオープンした。平日午後5~9時や週末の午後に、月10日ほど開催。出生時の性別に関わらず「女の子として生きる人」なら誰でも無料で利用できる。
お菓子を食べながらおしゃべりする子、ノートを広げて勉強する子、スマートフォンをいじる子――。2LDKの室内では、それぞれがリラックスして自由にくつろぐ。久野さんやボランティアが作った温かい食事を振る舞われ、相談したいことがあれば久野さんらが個別で応じている。
久野さんは大学を卒業して児童養護施設で働いた後、子育て支援のNPO法人「ひだまりの丘」(同市中村区)で勤務する傍ら、めぐるを立ち上げた。自身もかつては誰にも打ち明けられない事情を抱えていたことから、こうした活動の必要性を感じてきたという。
訪れている子たちは親から虐待を受けていたり、いじめによって不登校になったりと複雑な事情を抱える子も少なくない。一方で、心の内を吐き出せる場は、なかなかないのだという。「家や学校で懸命に『いい子』でいようとして、自分を出せない子もいる。ほっとできるようなつながりを求めていると感じるし、少しずつでも話してくれる関係性を育てていきたい」と久野さんは言う。
めぐるでは月1回、性別を問わず誰でも利用できる日を設けている。「性についても気軽に話せる場でありたいし、何か困ったときに相談してもらえるきっかけになれば」と、この日はさまざまな種類のコンドームを用意。実際に手に取って使い方を知ってもらい、必要な場合には渡すことにしている。
寄付や協力募る
将来的には毎日「居場所」を開くことを目指す。食材はフードバンク団体などから提供を受けているが、家賃などの資金面で厳しい状況という。久野さんは「必要としてくれる子がいる限り、ここを開けて待っていたい」と話し、寄付や運営に協力してくれるボランティアを募っている。
悩める女の子たちへ「気軽に来て話して」 居場所を開放 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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