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Friday, June 9, 2023

「女の子」支援が世界の課題を解決する。プラン・インターナショナル日本事務局創立40年のあゆみ - 愛媛新聞

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン

「女の子」支援が世界の課題を解決する。プラン・インターナショナル日本事務局創立40年のあゆみ

2023年6月8日(木) (公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン)

プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動しており、世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。

2023年、プラン・インターナショナルの日本事務局は創立40周年を迎えました。日本におけるプラン・インターナショナル40年のあゆみ、そしてこれからの展望をお伝えします。

戦災孤児支援から始まったプラン・インターナショナル。現在は女の子の権利促進を軸に

1937年、プラン・インターナショナル(以下プラン)の前身である「フォスター・ペアレンツ・プラン」がスペインの内戦を機に産声を上げたのは「戦災孤児や戦時下にある子どもへの支援」のためでした。その後、活動は途上国の貧困の中にある子どもへの支援に大きくシフトチェンジ。貧困や差別、虐待など、子どもたちの成長や可能性の開花を阻む要因を撲滅しようと試行錯誤を重ねてきました。

1983年、日本事務局が創立。きっかけは飛行機内での偶然の出会い

1983年、国内で国際社会への貢献意識が高まるなか、日本においてもプランが誕生します。法律や税務などの専門家である有志たちが、国際本部の働きかけを受けて事務局を開設。途上国を支援するためにプランに加わった国としては、世界で7番目。まだ、日本に国際NGOがほとんど存在していない時代でした。

設立のきっかけは、1981年、フォスター・ペアレント・プランの国際本部事務局長のジョージ・ロスが、日本から米国へ向かう飛行機に乗っていたときのこと。彼は、プランの活動を日本でも展開することができるかどうかの可能性を探る調査を終えて帰国の途に就いていました。すると、隣の席にいた乗客が話しかけてきました。その乗客は、マニュファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト銀行日本支店の副社長であり、在日米国商工会議所の役員でもあったロバート・シャープでした。

ロスが今回の訪日の目的を話したところ、シャープは協力を申し出ました。こうして、ロスは、日本での拠点づくりを始めたのです。

1983年5月1日、任意団体「日本フォスター・プラン協会」が設立され、初代の会長には、元アジア開発銀行初代総裁の渡辺武が就任しました。

日本フォスター・プラン協会の設立から1年余り経った1984年6月21日、東京都から公に寄付を募集する許可がおり、協会は、基幹支援プラン・スポンサーシップのフォスター・ペアレント(現スポンサー)の募集を開始しました。約9カ月後の1985年3月末にはフォスター・チャイルド数が2051人となりました。当時のFPPI全体でのフォスター・チャイルド(現チャイルド)数は約23万人でした。こうして、今日のプランに至る基礎ができたのです。

1990年代、権利ベースの支援で「子ども参加」の手法を取り入れる

1990年代が近づくと、それまでの世界の支援業界のアプローチ「ニーズベース(欠けているものを補うという考え方)」から「権利ベース(すべての人に人間らしい尊厳を持った生き方を保障するという考え方)」へ移行。それにともない、プランではよりいっそう、子どもたちのもつ可能性を信じ後押しする姿勢を強めていきます。それまでも、プロジェクトに地域住民の参加を促すアプローチは採用していましたが、子どもの代表をプロジェクト推進委員会に必ず入れる、活動の一翼を子どもたちが担う設計にするなど、子どもたちの意見や力をよりいっそう取り入れることに。

   出生登録証明書を手にした子どもたち(カメルーン)

1998年からは、喫緊の課題に直面する子どもたちを継続的に支援する「プラン・マンスリー・サポーター」(現「グローバル・プロジェクト」)の募集を開始しました。続いて、子どもたちの現実に即したメッセージを展開するようになりました。

2002年、すべての活動の根底・中心に、子どもの視点や意見を据えて活動するという手法「子どもとともに進める地域開発」を確立しました。

2006年以降、女の子の支援に力を入れるように

プランは長年子どもたちを支援するなかで、「特に後回しにされがちな女の子を支援しなければ、子どもたちの貧困や不平等はなくならない」と確信。女の子への支援に焦点を当てる方針を打ち出します。

2006年、ネパールを訪問したヨーロッパのプランのスタッフは、痩せ細り薄切り震えている女の子に目を留めました。家まで案内してもらうと、制服を着た元気な男の子の姿がありました。「なぜこんなにも女の子と差があるのか?」と母親に尋ねると、「Because she is a girl」という言葉が返ってきました。

女の子だから、それだけの理由で人間らしく生きる当たり前の権利を脅かされ、命の危険にさらされ、教育や収入の機会も奪われるのです。この言葉に衝撃を受け、弱い立場に置かれた女の子を応援するBecause I am a Girlキャンペーン*を開始しました。2007年にはプランの国際本部とUKのプランが「世界ガールズ・レポート」(当時は「The state of world’s girls」の発行を開始しました。

*Because I am a Girlキャンペーンは2022年に終了しました。

世界ガールズ・レポート2022「今こそ平等な力を:女の子と若い女性の政治参加」

2009年、日本でも「世界ガールズ・レポート」をもとに、早すぎる結婚(児童婚)や人身取引など世界の女の子が直面する課題と女の子がもつ力について発信を開始しました。

2012年には女の子の直面する課題を解決し、女の子のエンパワーメントを支援するために、新しい支援方法「ガールズ・マンスリー(現:ガールズ・プロジェクト)」を開始しました。

2015年のSDGs採択を機に、性別や属性による差別のない社会の実現を目指す

2015年、国連にて「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が採択されました。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標SDGsは「誰一人取り残さない(No One Left Behind)」ことを誓っています。これをきっかけにプランでもSDGsに沿って女の子や女性への支援を継続しつつ、あらゆる「取り残された人々」に注力するべく、人道支援も視野に入れ始めました。

2011年の東日本大震災、そして2016年の熊本地震をきっかけに国内での緊急支援にも活動範囲を広げました。被災直後にスタッフが現地入りしニーズ調査を行うなど、海外だけでなく、国内の被災地で「子どもの心のケア」「女性のニーズ支援」「学校再開」を柱に活動するという今日の体制につながっています。

2016年、団体の呼び名を「プラン・ジャパン」から「プラン・インターナショナル」に変更し、日本事務局の理事長に池上清子が就任しました。

2017年、プラン・ユースグループが、小池百合子東京都知事に女性の政治参加や若者の意見を取り入れることを提言しました。現場での支援と、政策に働きかける提言(アドボカシー)、これを活動の両輪としていくことが強く意識されるようになりました。

2020年、活動地域の新型コロナウイルス感染症対策のための寄付募集を開始。一方で、コロナ禍で困難に直面する日本の女の子のためのチャット相談を開設し、臨床心理士や社会福祉士、精神保健福祉士や助産師らが対応に当たりました。

2021年、「日本のユース女性の生理をめぐる意識調査」「日本における女性のリーダーシップ」の調査を実施し発表。これらはメディアにも多く取り上げられ、日本社会におけるジェンダーの認識に一石を投じることができました。

2022年、ウクライナ緊急支援を募集。ウクライナから隣国に逃れてきた子ども、若者、女の子と女性の環境整備、教育の継続、心のケアなどに関する支援を実施しました。日本からもルーマニアでの緊急支援活動のため、スタッフを派遣しました。

日本事務局創立40周年、これまでの成果とこれからの展望

2023年、プランの日本事務局は創立40周年を機に、海外だけでなく、日本国内の若年女性(15〜24歳)で生きづらさを感じている「女の子のための居場所・相談」プロジェクトを本格稼働させました。

この40年で、日本の累計スポンサー数は16万4460人、日本の累計チャイルド数は23万7079人、そして日本のご寄付から海外の支援活動への送金総額は899億617万6001円にのぼります。その間に世界の貧困率や衛生、就学率など、さまざまな問題が改善されています。

プランは、今後もより一層、ジェンダー平等の視点に立った活動に注力し、女性、男性、その他のジェンダー・アイデンティティをもつ人、性的指向、人種、階級、民族、能力、障害などに起因するあらゆる差別、排斥、暴力、不平等に反対し、すべての人が社会に参加し、自分が生まれながらにもつ権利を十分に享受できる世界の実現を目指します。

プラン・インターナショナル日本事務局創立40周年

・記念サイト:https://www.plan-international.jp/special/40th/

・創立40周年記念出版:「おしえてジェンダー!『女の子だから』のない世界へ」(合同出版株式会社)

女の子たちが、ジェンダ-による束縛や強制から自由になり、本来持つ力を発揮して世界に羽ばたくことができるよう後押しする本書。プランが持つ豊富な知見とデータに基づき、身近にあるジェンダ-の壁から、国内外の女の子が直面する問題、ジェンダーフリーな社会を作るための取り組みまで、漫画をまじえ中高生向けに分かりやすく解説しています

https://www.plan-international.jp/press/release/2023/0517.html

・出版記念イベント:https://oshietegender0621.peatix.com/

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