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Wednesday, August 11, 2021

「女の子の仏壇と遺影あったじゃん」 薄暗い山中でなぜか「蝉の鳴かない」一画…その恐怖のワケとは - 文春オンライン

 北九州在住の書店員でありながら、その豊富なホラー知識と実話怪談のアーカイブを持つかぁなっき氏。彼は映画ライターであり聞き手担当の加藤よしき氏と共に猟奇ユニット“FEAR飯”を結成しており、2016年の夏からライブ配信サービスTwitCastingで、「禍話」という実話怪談チャンネルを続けてきた。

 2021年7月11日にはABCテレビにて水谷果穂、入野自由ら出演で実写ドラマ化も果たし、今ホラー界の注目ユニットとして人気を呼んでいる。今回はそんな「禍話」から多くのリスナーを恐怖させた人気作「蝉の鳴かない山」をお届けする。(全2回の1回目。後編を読む

◆ ◆ ◆

ある建物の周りだけ“パッタリと蝉の鳴き声がしない”

 この話はかぁなっき氏が知人から聞いた話だそうだ。

 九州は大分県にあったというその山は、一部の人たちの間で奇妙な噂が囁かれていた。山というものは多くの生命の潜む場所であり、特に夏などは無数の蝉がジジジジジ、ミーンミンミンなどと季節を感じさせる音を鳴らしているものだが、その山の一画にある建物の周りだけ“パッタリと蝉の鳴き声がしない”のだという。

 すべての生き物が死に絶えているわけではないようで、その山の別の場所ではクワガタなどの虫たちや多くの鳥たち、もとい蝉自体も確認できたそうだ。

 だが、夏の木漏れ日のなか、ジジジジジ、ミーンミンミン、ジジジジジ、ミーンミンミンというけたたましくも懐かしい音を聞きながら歩いていると、フッ……とそれが静まり返る場所があるというのだ。

©iStock.com

娘の死の真相はわからぬまま

 かぁなっき氏が聞いた話によると、どれぐらい昔かは定かではないが、件の山の一画の家に、ある男親とその小学生くらいの娘が暮らしていたという。

 娘が病弱だったのか、はたまた学校に馴染めなかったのか、どういった経緯かは不明だが、わざわざ人目を避けるかのごとく、二人は山中に土地を買い、隠遁生活を送っていたのだそうだ。

 だが、親子が住み着いてから半年ほど経った時分に、突如として娘の様子がおかしくなってしまい、結果的に衰弱死のような形で亡くなってしまったのだという。警察は父親の虐待を疑ったそうだが、どうもそうではなかったようで、死の真相はわからぬまま、いつしかその父親も姿を消し、時の流れとともにあやふやな噂となっていった。

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