『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(以後、『#駄言辞典』)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる「駄言」をエピソードとともに400以上紹介している本書から、駄言リストとその駄言を生んでいる背景の分析を紹介します。今回のテーマは「キャリア・仕事能力」に関する駄言とその要因です。
「女の子いたら先方も喜ぶから」
ここでは「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業について考えてみます。こうした思い込みがまだまだ根強いように思える半面、実態は大きく変化しています。
内閣府の「女性の活躍推進に関する世論調査」(2014年度)を見ると、「男は仕事、女は家庭」という考え方に「賛成」の人は1979年には72.6%もいました。「男女共同参画社会に関する世論調査」(2019年度)では、「賛成」派が35.0%にまで減っています(「反対」は1979年の調査では20.4%、2019年の調査では59.8%)。過去40年間で、性別役割分業に対する日本の人々の価値観がここまで大きく変化しているのです。
さて、働く女性の数はどう変化しているのでしょうか。1986年に男女雇用機会均等法が施行され、働く女性は増えるばかりです。2021年3月の総務省の「労働力調査」では、15~64歳女性の就業率は71.1%に達しています(男性は83.6%)。結婚を理由に退社する女性も減り、同じく労働力調査では、女性労働力率の「M字カーブ」(女性の労働力率が出産・育児期に低下すること)の解消傾向も確認できます。
こうした事実があるにもかかわらず、女性を「職場の華」や「男性社員のお嫁さん候補」として扱う文化が、一部の企業に残っているという現実があります。
例えば、取引先との会食で、出席予定のメンバーが全員男性のとき、上司から「女の子がいたら先方も喜ぶから」と、女性の社員が参加を依頼されることは珍しくありません。「性別ではなく、能力で仕事をアサインする」。そんな当たり前のことが日本のすべての企業に浸透する日が、一日も早く訪れますように。
駄言の実例「ちょっとそこの女の子」
書籍『#駄言辞典』に掲載されている、公募で集まった「駄言」を一部紹介。太字部分が駄言で、その後に応募の際に寄せられたコメントを掲載。
「華を添えに来て」
得意先との飲み会への上司からの誘い文句。(ツイッターより)
「電話は女の子が出てくれたほうが相手が喜ぶから」
(ツイッターより)
「ちょっとそこの女の子」
女性に向かってビジネスの場で「女の子」と呼ぶこと。商談中に「ちょっとそこの女の子…」はナシだと思う。(ツイッターより)
「おまえ」
男の上司に、これ言われるのマジ無理。(ツイッターより)
「女性は能力だけじゃなくてやっぱりはにかんだみたいなかわいらしさがないとね」
それが女性社員に求めること?(ツイッターより)
「あなたたち(女性2人)の色気があれば契約バンバン取れるね!」
仕事の土俵に上がってないと見られているのかと絶望した。(ツイッターより)
ビジネスの場で「女の子」? やる気そぐNGワード集|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞
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