2022年9月14日ニューヨーク発
ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した新しい報告書『方程式を解く:数学を学ぶ子どもたちのために(原題:Solving the equation: Helping girls and boys learn mathematics)』によると、世界中で女の子は男の子に比べて数学で遅れをとっており、その根本的な原因は性差別とジェンダーに対する固定観念であることが明らかになりました。
本報告書では、100以上の国や地域を対象とした新しいデータ分析が紹介されています。報告書によると、男の子が数学のスキルを身につける確率は、女の子の最大1.3倍であることが判明しています。女の子は生まれつき数学を理解できないという、教師や親による、そして同世代の仲間の間でもしばしば持たれる否定的なジェンダー規範や固定観念が、この格差の一因となっています。また、このことは女の子の自信を失わせ、失敗を招くと報告書は指摘しています。
ジェンダーの固定観念などが起因
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「女の子は男の子と同じように数学を学ぶ能力を持っています。彼女たちに欠けているのは、これらの重要なスキルを習得する平等な機会なのです」と述べました。「私たちは、女の子の足を引っ張るジェンダーの固定観念や規範を払拭し、すべての子どもが学校生活や人生で成功するために必要な基礎的スキルを学べるよう、もっと努力する必要があります」
数学のスキルを学ぶことは、結果として記憶力、理解力、分析力を強化し、子どもたちの創造力を向上させると、報告書は指摘しています。来週開催される国連の教育変革サミットを前に、ユニセフは、数学などの基礎学習を習得していない子どもたちは、問題解決や論理的推論といった重要なタスクの遂行に苦労する可能性があると警鐘を鳴らしています。
この報告書の対象となっている34の低・中所得国のデータを分析したところ、女の子が男の子に遅れをとっている一方で、小学4年生の4分の3が基礎的な計算能力を身につけていないことも明らかになりました。中・高所得国79カ国のデータでは、15歳の生徒の3分の1以上が、数学の最低限の習熟度に達していないことも示されています。
質の高い教育を
世帯の豊かさもまた、決定要因となっています。報告書は、最も裕福な家庭の子どもたちは、最も貧しい家庭の子どもたちに比べて、4年生になるまでに数学的能力を身につける確率が1.8倍であると記しています。また、就学前教育や保育プログラムに参加している子どもたちは、そうでない子どもたちに比べて、15歳までに数学の最低限の習熟度に達する確率が最大で2.8倍にもなります。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響が、子どもたちの数学の能力をさらに悪化させている可能性が高いことも指摘しています。さらに、これらの分析は、現在学校に通っている女の子と男の子に焦点を当てており、女の子が男の子よりも学校に通えない可能性が高い国々では、数学の習熟度における全体的な格差はさらに広がっていると見られます。
ユニセフは各国政府に対して、すべての子どもたちに質の高い教育を提供することを約束するよう求めています。 私たちは、すべての子どもたちが学校に再入学して通い続けられるようにし、補習の機会を増やし、教師を支援して必要なツールを提供し、そしてすべての子どもたちが学ぶ準備ができるよう学校が安全で協力的な環境を提供するために、新たな努力と投資を求めています。
「子どもたちの世代全体の学習が危機に瀕している今、口先だけの約束をしている場合ではありません。すべての子どものための教育変革に取り組むために、私たちは今すぐ行動を起こす必要があります」(ラッセル)
教育格差:女の子は男の子より数学で遅れ―ジェンダーの固定観念や性差別に起因と指摘|日本ユニセフ協会|プレスリリース - 公益財団法人日本ユニセフ協会
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