名古屋市緑区で散歩中の犬が乗用車にはねられ死んだ事故で、警察は運転手とみられる高齢男性を道交法違反の疑いで調べを進めていて、近く書類送検する方針です。しかし、ペットは法律上「物」として扱われるという厳しい現実があります。
名古屋市緑区平手北の信号交差点で7月28日、6歳の女の子が愛犬とともに横断歩道を渡っていたところ、車が突っ込んできました。車は犬をはねてそのまま走り去り、事故から約1時間後に息を引き取りました。
飼い主の家族は事故現場で看板を掲げたり、SNSにもアップして情報提供を呼び掛けていました。目の前で愛犬をはねられた女の子の心の傷は深く、今も1人では事故現場を歩くことができないといいます。
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警察はその後、車を運転していたとみられる高齢の男性を特定し、任意で事情を聴いているということです。調べに対して男性は「覚えていない」としていますが、「悪いと思っている」など反省の言葉も述べているといいます。
警察は事故を申告しなかった道交法違反の疑いで調べを進め、今後、書類送検する方針です。
今回の事故について、元検事の亀井正貴弁護士に話を聞きました。
亀井弁護士:
「動物は原則として“物”として定義付けられておりますから、犬をひいたことによってなんらかの犯罪が成立するわけではないんです。犬はあくまでも物なので、救護義務違反には当たらず、事故を報告しなかった報告義務違反だけになります。それだと3カ月以下の懲役、5万円以下の罰金という括りになります。今回のケースは横断歩道上で赤信号無視であれば相当悪質だと思います。安全運転義務違反を防犯カメラがあれば問うことはできるかなという感じではあります」
亀井弁護士によると、犬などのペットは法律上「物」として扱われるので、人身事故ではなく物損事故という扱いになります。
器物損壊罪や動物愛護法の違反などは「故意に行われたもの」に適用されるため、今回のケースは当てはまる可能性は低いとみられます。
当てはまる可能性があるのが「道路交通法」です。物損事故の報告義務を怠った違反や、危険な運転に適用される安全運転義務違反、信号無視があります。いずれも3カ月以下の懲役、または5万円以下の罰金で、他にも反則金や違反点数がつくといったことが考えられます。
ペットの事故はこうした厳しい現状がありますが、少しずつ変化も起きているといいます。
亀井弁護士:
「犬はひかれても、かつては原則として慰謝料は発生しなかったんです。ただ、ペットは“家族の一員”であるという社会的な形態が累積された結果、ペットの死傷についても慰謝料を請求できるという判例が出ております。犬との関係、ペットと家族の関係性・どれぐらい飼っているか・どれぐらいで購入したかなどを加味して、状況によっては数万円から数十万円の慰謝料が認定される例はけっこう出てきております」
亀井弁護士は、2005年の事故の判例をあげました。 大型トラックが停車中の普通車に追突して車に乗っていた犬が骨折し、足の麻痺が残るなどしました。犬の飼い主である夫婦が訴えを起こし、2008年に名古屋高裁が下した判決は、大型トラックの運転手に対して支払いを命じるものでした。内訳は、治療費や入院費など13万6500円に加え、慰謝料として夫婦へそれぞれ20万円ずつ、計40万円ということでした。
亀井弁護士によると、この判決はペットの裁判の中で従来よりも“被害者に寄り添った”判例だといいます。法律上では今もペットは「物」ですが、亀井弁護士は「かけがえのない家族の一員であるということが、社会に浸透してきているのではないか」とも説明しています。
法律上は『モノ』扱い…6歳女の子と散歩中だった愛犬が車にはねられ死亡 ペット被害の事故に“厳しい現実” - tokai-tv.com
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